2008/06/27

WEBERのセッティング(その4 セッティングの手順)

※各セッティングパーツの名称を次のように略しています。
OV:アウターベンチュリー AV:インナーベンチュリー MJ:メインジェット IJ:アイドルジェット
ET:エマルジョンチューブ AJ:エアージェット PJ=ポンプジェット NV=ニードルバルブ
IAS:アイドルアジャストスクリュー

キャブセッティングの手順 (ジェットセッティングの基本はメイン系統から)
(1)キャブレターが正常に動作することを確認する。
 内部パーツの消耗、動作を確認して完全な状態にしてください。もちろんインマニへ
の装着状態も含めてです。
二次エアーが入るとか、そういう段階の説明は省略します。

(2)油面の調

 油面高さは、キャブレターカバーを上下逆さにして、ガスケットとフロートの間隔が11~12mm程度(ツノ付き対策後タイプの場合)にすればOKです。
2個のフロートがキ
ャブレターカバーと平行になっていることも大切です。
この間隔についてノウハウを持っているショップもあるそう
ですが、とりあえず2個のキャブが揃っていればOKだと割り切って進めましょう。

(3)キャブレターの同調を取る。
 ツインキャブの場合、2個のキャブレターが全く
同じように開閉できる状態にします。基本的にはシンクロテスターを使って吸気量を測定しますが、シンクロテスターの空気抵抗で回転数が変わらないように手早く測定する必要があります。
測定する回転数については、アイドリングより僅かに高めの回転数でやれば十分だと思います。

左右の同調が取れない場合の処置について。
その1-スロットルシャフト(スロットルバタフライを固定しているシャフト)の捩れを取る。

 スロットルレバーを少し手で開いて反対側のスロットルシャフトワッシャーの「狭い外周部」をプライヤで挟み、吸気量の少ない方を手前に(開く方向に)捻る要領で力を入れます。
大抵の場合はこれで完璧に同調させることができますが、またすぐに捩れてくるので困ったものです。




②その2-排ガス対策用のツノ(エアバイパススクリュー)を利用する。
 排ガス対策後のWEBERには白いキャップ(一般にツノを呼ばれる)のついたエアバイパススクリューが付いています。アイドリング時にバイパスされて 入ってくる空気量を調整することができるので、吸気量の少ない方のツノを開けば同調させることができます。ただしアイドリングから微妙にスロットルを開い た付近までの同調が一定にならないので、あるていど妥協しなければなりません。
私は上記①で頻繁に同調が狂うのを嫌い、このやり方を採用しています。


(4)ジェットの暫定セットを決めて組み込む。
 セッティングチャートから、自分のエンジンやキャブレターの仕様に合いそうなセットを選びます。とりあえずIJについては、迷ったら薄めの方がセッティング中にスパークプラグがかぶりにくいのでお勧めします。(とりあえず走れば良い)

(5)メイン系統を調整する。
 セッティングチャートで選んだMJとAJの組み合わせで、どのようにスパークプラグが焼けるかを確認します。
高速道路で3速全開加速を繰り返し、回転を落とさないようにPAに滑り込んでエンジンカット。結構大変ですが、私もかつてはこれを繰り返したものです。車の性能を最大限に出すには4速でセットアップを行うべきですが、公道では無理ですね。
3速は4速より濃い目の結果となるので、スパークプラグが狐色よりも黒い程度が良いかもしれません。ただ実際には公道で焼け具合を見て判断するのは難しくて、きっと迷いが出てくると思います。迷った時は体感的な加速感で比較するとか、中間加速タイムを計測して比較するとか、マージンを考えて濃い方を選ぶとかなど、自分なりの基準を決めておくと良いでしょう。私の場合は加速タイムを計測していました。後にデータロガーで空燃比計を分析するようになっても加速タイムを重視しており、加速タイムも同様なら燃費を考えて薄めを選択しています。

(6)加速系統を調整する。
 アクセルの踏み方は人それぞれなので、フィーリングでPJのサイズを決めれば良いと思います。私はタイヤのグリップを確かめながらじわっと踏んでいくタ イプなので、PJの効きは弱い方が好きで#35を選択しています。ただしメイン系・スロー系のセッティングにも左右されることなので、一概にどのサイズが 良いとは言い切れません。
気をつけなければならないのは、最初に決めた暫定セットから
PJのサイズを変えると、全域の燃調が狂ってしまうということです。PJのサイズを変えることにより、メイン系統を再調整するとこも想定しておかなければなりません。

(7)スロー系統を調整する。
 街中での走行ペースではほとんどがIJの支配下にあるようなものですが、普通に気分良く走れるサイズを探せば大丈夫だと思います。しかし
変更の度合いが大きいと、上記で決めてきた燃調にも影響するので注意は必要。
【アイドリングの調整方法】
 「アイドルアジャストスクリュー(以下、IAS)は、アイドリングの燃調だけを決めるものでそれ以上の回転域には関係ない」という意味の説明をしている マニュアル本を読んだことがありますが、それはウソです。少なくとも街中で普通に走行する範囲に影響が出ます。
 IASをアイドリング回転数が最高になる位置でセットしている人が多いと思いますが、それも絶対に正しいとは言えません。アクセルを踏み出した瞬間に PJが必要以上に仕事をしてしまうので、どうしてもかぶり気味になるからです。PJは回転数に関係なくアクセルの踏み方に対して動作するので、アイドリン グ付近の低い回転数に対しては過剰に燃料を送ってしまうのです。これによるかぶりを軽減するには、IASをアイドリング回転数が落ちる直前まで絞っておく 方法が効果的です。しかしアイドリングでIASを絞りすぎると走行中でも薄くなってしまうので、それも想定してIJの選択をしておくと良いと思います。

IAS を最高回転数になるように調整すると空燃比は12.0:1付近になりますが、私の場合は12.8:1近くまで絞ります。これにより発進時の僅かなかぶりが 軽減されるし、多少標高が高い所に登ってもドライバビリティの悪化は最小限に抑えられます。長野のビーナスライン(最高2000m近く)ではさすがに濃い 症状が出たものの、他車よりはコンディションが良かったと思います。
山道を走る割合の多い車だから、アイドリングを「少し薄め」にしておくという考え方も良いかもしれません。


(8)全体の見直し
PJやIJ等を交換すると、最初に決めたメイン系統の燃調が狂うことがあります。
再度全体をチェックして、必要に応じて微調整をすれば完了です。

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