2008/06/27

WEBERのセッティング(その6 トラブルの例)

※各セッティングパーツの名称を次のように略しています。
OV:アウターベンチュリー AV:インナーベンチュリー MJ:メインジェット IJ:アイドルジェット
ET:エマルジョンチューブ AJ:エアージェット PJ=ポンプジェット NV=ニードルバルブ
IAS:アイドルアジャストスクリュー


トラブル例

(1)バックファイア
 混合気が薄いと火炎伝播速度が遅くなり燃焼が爆発行程の間に終わらず、次工程で吸気バルブが開いた時にインマニ内の混合気に着火する現象で、キャブレターまで吹き返し、薄暗い所で観察するとキャブ内で炎が見えます。
原因としては、混合気の薄過ぎや点火系のトラブルなどが考えられます。
 「シュパッ」「チン!」というキャブレターに吹き返す症状で、コールドスタート直後にアクセルを踏んだ状態で、混合気が薄いと出やすいですね。
しかしエンジンが温まっても混合気が薄いと同様の症状が出ることがあり、負荷の少ない巡航時に発生することが多いです。
症状を収めるだけならIJのサイズアップするか、寒い季節になったらIJSを開くだけで対策できますが、メイン系統が極端に薄い場合は全体を見直す必要があります。

(例1:IJを交換したらバックファイアが出るようになった)
 IJは、加速時だけでなく巡航時の燃調にも影響するという例でした。IASを開いて応急処置。

(2)アフターファイア
 走行中にスロットルを閉じると、マフラーから「パンッ」という音(火も)が出る現象です。ほとんどの場合は混合気が薄い状態に起こりますが、濃すぎる場合にも発生することがあります。

(例1:スロットルを踏み込んだ状態から戻す瞬間に出る)
 メイン系統が薄い状態です。アクセルを完全に戻す直前に発生するなら、スロー系統が薄いことも考えられます。
 症状にあわせてMJ,AJ,IJのサイズ変更を行い濃くする必要があります。

(例2:アクセルを完全に戻した時に発生する)
スロー系統が薄いので、IJをサイズアップする必要があります。

(例3:巡航している時に発生する)
 極端に濃い可能性があるので、メイン系統からやり直した方が良いと思います。応急処置としては、MJ又はIJをサイズダウンする。

(例4:プロショップが行った燃調なのに、激しくアフターファイアが出る)
 なかなか原因がつかめなかったそうですが、結局はインマニとキャブとの接合部に挟むガスケットの一部が欠けており、その気筒だけ二次エアを吸っていたことが判明しました。ガスケットを交換してアフターファイアは止まりました。

(3)加速中の息つき
①混合気が薄い
 発進直後の息つきをプラグがかぶっていると言う人が多いですが、実は反対に薄すぎて異常燃焼を起こしたり失火していることが多いのです。急いで加速しようとして急激に深く踏み込むと起こりやすい症状ですね。
特に大径キャブ(又は大径OV)ほどこの傾向が出やすくなるので、スロー系統・加速系統を濃い方向に調整する必要があります。あるいはETをF11のように高回転よりも相対的に中低速回転が濃くなりやすいものを選択するのも方法です。
②混合気が濃い
 反対に息つきはしないけど、アクセルの微妙な操作に即反応せず踏み込んでも加速感と排気音が鈍い場合は、混合気が濃い可能性があります。酷い場合には、 アクセルのオン・オフを繰り返すとギクシャクしてしまいます。そのままではスパークプラグがかぶって失火に繋がります。エンジンが不揃いな周期で回るよう なら、スパークプラグと燃調を疑いましょう。

WEBERを使っている車は古いメカなりにもスポーツ性を重視しており、エンジンのカムはオーバーラップが大きくて低回転では吹き抜けが多く、その上にPJは容赦なく濃いガスを供給します。
全開走行に合わせてセッティングすれば、スロー走行で多少かぶるはずです。

(4)燃料のオーバーフロー
 ある日を境に燃料がオーバーフローして漏れる症状が出たので、キャブレターカバーを外して見たところ、1個のフロートのアームが折れて外れていました。ニードルバルブを閉じる浮力がなくなっていたという、珍しい例でした。

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